膝の腫れや痛みに悩む人へ! 原因と対処法を詳しく解説!
2017/03/22
2020/10/16
監修: 光伸メディカルクリニック院長 中村 光伸
「階段の上り降りがつらい」「旅行をしたいけど膝が心配」など、膝の腫れがあると、日常生活にさまざまな支障があります。膝には体重がかかり負担も大きいため、故障しやすいものです。悩みの無い膝を手に入れることができたら、気持ちも楽になることでしょう。そこで、今回は、膝の腫れの原因を探り、適切な対処法について解説します。
この記事を読むことで、膝の腫れで悩んでいる人はどんな対策をするべきか理解できます。膝の悩みを解消するためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
1.膝の腫れについて
膝の腫れがあると、膝が太くなったり膝小僧がポッテリとしていたりするなど、見た目でわかるものです。また、触れると張りや痛みがあることも多くなります。膝全体が腫れることが特徴ですが、腫れている部分に何らかの問題があることは明らかです。原因を正しく尽き止めて、適切な対応をしましょう。
膝の腫れと併発する症状について
膝の腫れは、多くの場合で併発症状を伴います。主なものについては、以下を参考にしてください。
- 痛みがある
- 赤みが出る
- 熱を持っている
- 膝が曲がらない
- 膝が伸びない
併発症状を細かく観察することによって、原因追及に役立ちますよ。
2.膝の腫れの原因について
膝の腫れを解消するためには、原因を正しく知ることが大切です。主な原因や、腫れやすい人の特徴を学びましょう。
2-1.膝の腫れの原因で主なものや考えられる病気
膝に腫れの主な原因について、対処法・治療法・放置するとどうなるか併せて解説します。
2-1-1.膝の骨折や打撲など
膝に骨折や打撲などがあると、痛みを伴いながら腫れるものです。どこかに膝をぶつけたり、階段から落ちたりしたときに起こります。骨折の疑いがあるときは、患部を動かさないように添え木を当てて布を巻いて固定しましょう。その後、医療機関を受診してください。骨折や打撲は放置すると、治りが遅くなり、痛みや腫れもひどくなるので注意しましょう。
2-1-2.膝の靭帯(じんたい)の損傷
激しい運動をした後で、膝に痛みを伴う腫れが出てきたときは、靭帯(じんたい)の損傷を疑いましょう。靭帯(じんたい)は膝の骨をつなぐ役割を持っていますが、柔軟性がありません。そのため、激しい運動をして強い負荷がかかると損傷することがあります。診断の結果、断裂していなければ膝を固定して安静にすることが大切です。放置すると、断裂してしまうこともあるので気を付けましょう。すでに断裂している場合は、手術が必要なこともあります。
2-1-3.膝軟骨が変形している
何らかの原因で膝軟骨が変形していると、膝周辺の組織が炎症を起こしやすくなって腫れが出ます。膝関節の軟骨が、すり減って薄くなったり軟骨が部分的に消失して骨が直接当たったりし、激しい痛みを伴って歩行困難になりやすいのが特徴です。治療は、手術をして人工関節を入れるなど、症状によって医師が最適なものを選択します。いずれにしても、放置すると悪化し、治療が困難になるので注意しましょう。
2-1-4.膝に水が溜(た)まる
関節の炎症などが原因で膝に水が溜(た)まっていると、腫れが出ることがあります。膝に溜(た)まった水は自然に抜けにくいので、医師に抜いてもらいましょう。投薬や手術が必要な場合もあります。いずれにしても、治療を受ければ痛みや腫れも引いてくるはずです。
2-1-5.膝関節の炎症
膝関節の炎症で、腫れることはよくあります。加齢や関節の動かし過ぎが原因で、膝の骨や関節に負担がかかり周辺組織が炎症を起こすのです。また、痛風やリウマチなどによって膝関節が炎症を起こすことがあります。まずは、医師の診察を受けて原因をつきとめて元から改善することが大切です。放置すると重症化して、腫れや痛みが激しくなるので気を付けましょう。
2-1-6.膝関節に腫瘍(しゅよう)がある
膝関節に腫瘍(しゅよう)があると、膝が腫れます。腫瘍(しゅよう)の位置によって、腫れがひどい部分が変わるものです。腫瘍(しゅよう)は放置すると大きくなるだけでなく、悪性の場合は脚を切断する必要も出てきます。早めに手術をし、腫瘍(しゅよう)を取り除いてもらいましょう。
2-2.膝が腫れやすいのはどんな人?
膝が腫れやすい人には、以下のような特徴があります。条件に当てはまる人は、いずれも膝に負担がかかりやすいため、特に注意が必要です。
- 激しいスポーツをする人
- 膝関節に異常がある人
- 歩き方や姿勢が悪い人
- 肥満体の人
- 高齢者
- 妊婦
3.膝が腫れたときの対処法
膝が腫れたときの対処法について、詳しく解説します。早く治療をするためにも、病院に行くべき症状やセルフケアの内容や注意点などしっかり理解してください。
3-1.こんなときには病院へ
膝の腫れのほかに、以下の症状があったらすぐに病院に行きましょう。膝の腫れの原因が悪化していることが考えられます。
- 激しい痛みを伴う
- 急激に腫れてきた
- 腫れが時間を追うごとにひどくなる
- 感覚麻痺(まひ)やしびれを伴う
3-2.病院での治療の流れについて
おおよそ、以下のような流れで治療が進みます。適切な治療をするためにも、診察や検査をいくつか行うことになるはずです。
- 問診(いつごろから腫れがあるかなどの自覚症状や原因などについて)
- 視診(膝の外観や歩き方をチェック)
- 触診(膝の腫れの程度や痛みを感じる部分・関節の動きをチェック)
- 検査(X線検査・関節液検査・血液検査を必要に応じて行う)
- 診断(さまざまな結果を考慮して医師が診断を下す)
- 治療開始
3-3.膝の腫れのセルフケア
膝が腫れているときのセルフケアとして、簡単にできるものを紹介します。
3-3-1.湿布
膝が腫れているときは、湿布を貼ると気持ちがいいものです。市販品にも、膝周りに貼りやすいものが出ているので使ってみてください。湿布には温感タイプと冷感タイプがあります。腫れに対応するのは、冷感タイプです。特に、炎症が原因で腫れている場合、間違って温感タイプを貼ってしまうと痛みや腫れがひどくなることがあるので注意してください。
3-3-2.アイシング
アイシングとは、冷やすという意味です。腫れている膝を冷やすことで、炎症を抑える効果があり、腫れの早期解消を目指します。氷水にタオルをひたして絞ったものを使うか、氷のう・アイシングバッグを利用しましょう。なお、使用するときは、あらかじめ冷凍庫に入れて冷やしたものをタオルに巻いて使ってください。
3-3-3.市販の鎮痛剤
膝の痛みがひどい場合は、市販の鎮痛剤を飲むことも考えましょう。痛みの感覚をブロックできれば、随分と楽になります。ただし、市販の鎮痛剤だけでは完治しません。あくまでも、痛みを一時的に取り除くだけのものなので、速やかに適切な治療を開始してください。また、治療時の参考になるため、鎮痛剤の種類と服用回数・日時を医師に告げておきましょう。
3-4.膝が腫れたときの対処法に関する注意点
膝が腫れたときは、腫れの原因に対応する方法を選んでください。間違った対応をすると逆効果になります。また、症状の改善が無かったり悪化したりしたときは、すぐに医師の診断を仰ぎましょう。歩行困難な場合は、人の手を借りることも迷ってはいけません。できるだけ早めに適切な対処を行って、症状を改善しましょう。
4.膝の腫れの予防法を解説
日常生活に気を配ることで、膝の腫れを防ぐことは可能です。具体的に何をするべきか、詳しく解説しましょう。
4-1.膝の腫れを予防するための生活習慣
膝の腫れに悩む人は、生活習慣を見直すことが大切です。たとえば、以下のようなことに気を付けて膝に負担がかからないようにしましょう。
- 普段の動作をゆっくり行う
- 急いで歩かない
- 無理して階段を上り下りしない
- サイズが合う靴をはく
- 普段から膝周りの筋トレをする
- 体重が増えないように暴飲暴食を避ける
膝に大きな衝撃を与えることが腫れを招くので注意してください。
4-2.膝の腫れの予防法
膝の腫れを予防するには、以下のことに気を付けましょう。膝の負担を軽くすることで、腫れを予防できますよ。
- 激しい運動を避ける
- 運動の前後には十分なストレッチを行う
- 膝を冷やさないようにする
- ダイエットで適正体重に近づける
4-3.サプリメントを飲む
膝の腫れを予防するために、サプリメントを飲んでみるのもいいでしょう。膝関節の柔軟性を維持するためには、コラーゲンなどの有効成分が入ったサプリメントが効果的です。たとえば、当キョクトウ株式会社でも「楽らく歩」というサプリメントを取り扱っています。毎日コツコツと飲み続けることで、膝の柔軟性をサポートしてくれるので、ぜひ試してみてください。
「楽らく歩」の詳細については、下記ページをご覧ください。
http://www.my99box.com/膝痛でお悩みの方へ
4-4.膝の腫れの予防に関するNG行為
膝の腫れの予防は、毎日コツコツと続けることに意味があります。ストレッチを行って膝関節周辺を柔軟にすることは、とても効果的なことです。しかし、やり過ぎるとかえって膝に負担をかけて腫れてしまうことがあるので注意しましょう。膝の調子がいまひとつだと感じるときには、ストレッチを中止してください。予防法を続けても、膝の腫れが出てきたときは方法が間違っている可能性があります。やり方を見直すと同時に、医師の診察を受けましょう。
5.膝の腫れや痛みに関するよくある質問
最後に、膝の腫れや痛みに関するよくある質問に回答します。不安や悩みをスッキリ解消するためにも、それぞれ確認しておきましょう。
5-1.膝が痛むときはサポーターで固定した方がいいのでしょうか?
膝を動かすと痛いときは、確かにサポーターで固定すると楽です。しかし、長時間付けたままだと関節が固まってしまって逆効果になることがあります。また、膝関節のサイズに合ったものを付けないと、痛みや腫れを増すことがあるので気を付けましょう。なお、サポーターはあくまでもその場しのぎであり、治療効果が期待できるものではないことを理解してください。
5-2.高齢になると膝が痛んだり腫れたりしやすいのはなぜですか?
高齢になると、膝関節の軟骨がすり減ったままで戻らなくなります。また、骨や筋肉が弱くなり膝関節への負担が大きくなるのです。そのため、膝が痛んだり腫れたりしやすくなり、回復も遅れがちになります。自力で歩き続けるためにも、必要な治療を積極的に受けることが大切です。高齢者にとって歩行障害が出ることは、日常生活の質を大きく落とすことになるので注意しましょう。
5-3.子どもが急に膝の痛みを訴えたときに注意するべき点は?
子どもは活発なため、転んだり何かにぶつかったりすることが多いものです。まずは、膝を強打していないか聞いてみましょう。強打した場合は、膝をどうすると痛いのかチェックしてください。我慢できないほどの痛みがあるときは、骨折の疑いが強いので特に注意が必要です。膝周辺を固定した状態で、医師の診察を早めに受けてください。強打していないのに痛みを訴える場合は、炎症などほかの原因を考えましょう。いずれにしても、早めの受診がカギとなります。
5-4.知らない間に膝が腫れていることがあるのですが?
姿勢や寝相が悪く、膝をひねった状態になっている可能性があります。また、無意識のうちに膝に負担をかけていることもあるでしょう。痛みが無く、腫れがすぐに引く場合は大きな問題にはなりません。しかし、膝に負担がかかっていることは事実ですから、油断しないでください。何が原因か考え、きちんと対処しましょう。
5-5.膝関節の手術後でも腫れることはありますか?
手術後の腫れが気になる場合は、医師に相談してください。手術で根本的な原因そのものを改善できても、ほかの原因で膝が腫れることがあります。季節の変わり目などに、腫れやすくなる人もいるでしょう。また、長年のくせで膝に負担がかかるような歩き方や姿勢をしていると、膝の腫れとして現れることがあるので注意してください。
まとめ
膝の腫れがあると、日常生活の質が大きく下がります。歩きにくく、痛みや違和感を覚えると、行動範囲が狭くなってしまうでしょう。腫れや痛みの原因を正しく知り、適切な対応をすることが大切です。治療をきちんと受け、日常生活でも予防に気を付けるのと同時に、サプリメントなどの活用で膝をいたわることも忘れないでください。悩みの無い膝を手に入れて、毎日を楽しくアクティブなものにしましょう。
監修者
中村 光伸
光伸メディカルクリニック(東京 新宿)院長
医学博士
日本整形外科学会専門医
日本整形外科認定スポーツ医
日本整形外科認定リウマチ医
日本体育協会公認スポーツドクター
日本抗加齢学会認定専門医
日本胎盤臨床医学会認定専門医
日本美容皮膚科学会
日本レーザー治療学会
東京生まれ。北里大学医学部卒業、北里大学整形外科入局。
学位習得後、フンボルト大学外傷再建外科学(ドイツ)・チャンガン大学形成外科美容外科(台湾)へ留学。
Jリーグヴァンフォーレ甲府チームドクター、山梨学院大学陸上競技部(駅伝)チームドクターを歴任。
北里大学整形外科専任講師、北里大学救命救急整形外科部長、松倉クリニック&メディカルスパ等を経て、2011年12月、自身の理想とする医療を実現するため「光伸メディカルクリニック」を開業。 “リバースエイジング・健康寿命を延ばす”を命題に“見た目”の大切さと“動き目”の大切さを唱え、「整形外科」「美容外科」「美容皮膚科」「リハビリテーション科」を一つの科として診療している。
著書
「3か月で10歳若返る わたしはリバースエイジングドクター」(H304月1日発刊予定)
メディア掲載歴
『Domani』2018年3月号、『VoCE』2017年11月号、『厳選 クリニックガイド』、『VOGUE』2017年9月号、『VoCE』2017年4月号、『VoCE』2017年3月号、『ViVi』2016年8月号、『VoCE』2016年6月号、『InRed』2016年6月号、『VOGUE』2016年1月号、『DRESS』2016年2月号、『MAQUIA』2016年2月号、『VoCE』2015年2月号、『VOGUE』2015年1月号、『MyAge』2015年秋冬号、他多数