日本人に多い、ねじれ腸とは?しつこい便秘はこのせいだった?!
2016/10/25
2016/11/01
監修: 快適ヘルシーライフ編集部
「便秘がひどくておなかが痛くなる」「何をしても効果がない」その気持ち、よくわかります。頑固な便秘はおなかが痛くなったり張ったりするため、何とかしたいものですよね。便秘解消の方法はいくつもありますが「何を試しても改善しない」というときは、ねじれ腸の可能性もあるでしょう。その名のとおり腸がねじれているため、便秘の原因になります。この記事では、ねじれ腸の原因や症状・自分でできる腸もみマッサージ法などをまとめて解説しましょう。
この記事を読むことで、ねじれ腸と便秘についてわかります。ねじれ腸を治して便秘から解放されましょう。
1.ねじれ腸とは?基礎知識まとめ
まずは、ねじれ腸とはどのようなものを言うのか解説します。主な原因や症状について知ってください。
1-1.正式には「腸管形態異常」
「腸がねじれている」と聞くと怖いイメージがありますが、実は日本人の8割がねじれ腸であると言われています。正式な病名は「腸管形態異常」と言い、腸が不規則に曲がりくねっているため、便通に異常が現れてしまうものです。子供のころから便秘がちだった人や、便秘の際に必ず腹痛を伴う人は、この状態である可能性があるでしょう。
1-2.腸はどうなっているのか?
腸の一部がねじれており、その部分を便がとおりにくくなり、硬い便が栓のように詰まるのが便秘の原因です。ねじれている部位は人それぞれですが、特に下行結腸やS状結腸部分だと便秘になりやすいと言われています。ただし、腸の機能に異常はないため、詰まった便を押し出そうとする力が働き、圧迫されることによって痛みが出るのです。
1-3.主な原因
ねじれ腸はなぜ日本人に多いと言われているのでしょうか。その理由は、日本人特有の生活習慣もかかわっているためです。原因として考えられるものをご紹介しましょう。
1-3-1.腸が長い
日本人は大腸が長いと言われています。昔から肉食よりも農作物中心の食事が多かったことがその原因でしょう。野菜は肉よりも消化・吸収に時間がかかるため、必然的に大腸が長くなったと考えられます。大腸が長いと腹部でねじれが発生しやすくなるのです。
1-3-2.食生活の欧米化
日本では近年、食生活の急速な欧米化がすすんでいます。野菜を中心とした食生活が一気に欧米化し、肉類の摂取頻度が高くなったのです。その急速な変化に腸の環境がついていけず、ねじれ腸になってしまったという説もあります。
1-3-3.排便を我慢することが多い
日常的に「排便を我慢すること」が多いことも原因になります。「排便は恥ずかしいこと」と思い、学校や職場で排便を我慢してしまう人も多いでしょう。我慢すると腸がねじれやすくなるため、まずはこの習慣を何とかしなければなりません。
1-4.主な症状
主な症状は、やはり便秘です。また、便秘と下痢を繰り返す症状が現れることも多くなっています。ねじれ腸による便秘の場合、一般的な便秘解消法はほとんど効果がないでしょう。その点も、ねじれ腸かどうかを見極める上でポイントになります。根本的に便秘を解消するためには、ねじれ腸を改善するしか方法はないのです。
2.ねじれ腸と便秘の関係
では、ねじれ腸と便秘の関係について解説します。そのメカニズムや主な症状をまとめてみました。
2-1.ねじれ腸と便秘のメカニズム
腸がねじれることで、その部分のとおり道が狭くなります。その部分に便がつまり、便秘になるのです。また、その部分に便がつまり、重みで腸がさらに伸びてしまうため、さらにねじれやすくなります。このような悪循環によって便秘が起こるのです。
2-2.主に腹痛を伴うのが特徴
通常の便秘だと、おなかの張りは感じるものの痛みはあまりありません。もちろん悪化すれば腹痛も発生しますが、軽い便秘程度でおなかが痛くなることはないでしょう。ねじれ腸による便秘の場合は、必ずと言ってよいほど腹痛を伴うのが特徴です。「腹痛を伴う便秘」は、腸は動いているが便がとおりにくいときに起こります。ねじれ腸の場合、腸は正常に動いているため、腹痛が起こるのです。
3.ほんとにねじれ腸?セルフチェック
自分の便秘がねじれ腸によるものかどうか、セルフチェックしてみましょう。
3-1.セルフチェックリスト
以下の項目のうち、いくつ当てはまるものがあるかチェックしてみてください。
- 腹痛を伴う便秘が続いている
- 便秘解消後に下痢気味になる
- 運動不足になると必ず便秘になる
- 便秘が子供のころから続いている
2つ以上当てはまるものがある場合はその可能性が高いでしょう。
3-2.似た病気もある
ねじれ腸と似た症状のものに「落下腸」があります。落下腸とは、腸が本来の場所よりも下に落ちてしまうものです。この場合、逆立ちをすると腸が動き、本来の場所に戻るという特徴があるため、ねじれ腸との違いはこの部分になります。そのほかのチェックリストは全く同じであるため、2つの病気を区別するために逆立ちをしてみるとよいでしょう。
4.ねじれ腸に効くマッサージや運動
効果的なマッサージや運動などをいくつかご紹介しましょう。
4-1.マッサージ
特にねじれやすいのは「下行結腸」「横行結腸」「S字結腸」の3箇所です。ねじれ腸を改善するには、この部分を重点的にマッサージしましょう。
4-1-1.下行結腸
あおむけの状態で両膝を立て、腰の下にクッションを敷きます。左側の肋骨から骨盤にかけて、両手で1分ほど押してください。腸を揺らすイメージでマッサージするのがポイントです。
4-1-2.S字結腸
おへその下から恥骨にかけて、両手の指で押していきましょう。次に、恥骨からおへその下にかけてマッサージします。腸を持ち上げるように行いましょう。こちらも腸が揺れるようなイメージで、各1分ほど行うと効果的です。
4-2.腰揺らし運動
横行結腸と下行結腸を刺激するのに効果的なのが「腰揺らし運動」です。両足を肩幅に広げて立ち、両手を水平に広げてください。後は、上体を左右交互にひねるだけです。この方法を1分続けると横行結腸と下行結腸をマッサージできます。
4-3.朝食前と就寝前の2回行う
上記のマッサージや運動を行うタイミングとしては、朝食前と就寝前の2回がおすすめです。そのほかにも、湯船の中で行うと腹筋の力が緩んでいるため腰を揺らしやすくなるでしょう。就寝前にゆっくりと湯船に浸(つ)かりながら実践してみてください。
4-4.注意点
マッサージや運動は「何日続ければ効果が出る」というものではありません。ねじれ腸は体質によるものであるため、すぐに効果が出る人もいれば長く継続する必要がある場合もあるのです。「効果が出ない」とすぐにあきらめず、気長に続けることが大切でしょう。
5.ねじれ腸は治療できるのか?
ねじれ腸は病院に行くと治療してもらえるのでしょうか。薬についてもご紹介します。
5-1.病院に行くべきか?
日本人特有の症例であることもあり、治療のガイドラインがありません。そのため、病院に行っても便秘や下痢の原因は「過敏性腸症候群」と診断されることが多いでしょう。大腸内視鏡やCT検査によって腸のねじれを発見することはできますが、ねじれを治すための直接的な治療法はありません。ただし、便秘を治すための薬は処方してもらえますし、生活習慣の指導なども受けることができるでしょう。あまりにも便秘がひどい場合は、受診して相談してみてください。
5-2.薬について
ねじれ腸を治すための薬というものはありません。便を柔らかくして出やすくするための薬は病院でも処方してくれるでしょう。処方された薬を飲みながら、ねじれ腸に効くマッサージや運動を続けることで、便秘は解消されるはずです。便秘の症状が軽い場合は、病院に行かず市販のサプリメントなどで便秘の緩和を試みてもよいでしょう。
6.ねじれ腸にかんするよくある質問
ねじれ腸の症状に悩む人が感じるであろう疑問とその回答をまとめてみました。
6-1.ねじれ腸の場合、腹痛や便秘以外に症状はありますか?
A.ねじれ腸の症状には個人差があります。人によっては、排便時に激痛を伴う場合や、腸にガスがたまるなどの症状を訴えることがあるということです。
6-2.腹痛を伴う便秘から考えられる病気には、ほかにどのようなものがありますか?
A.血便や便が細くなるような症状が伴う場合は、大腸がんの可能性もあります。嘔吐や膨満感があれば腸閉塞の可能性もあるため、すぐに受診してください。
6-3.便秘や腹痛がひどい場合は、何科を受診すればよいですか?
A.内科か消化器内科・胃腸科を受診してください。
6-4.ねじれ腸は遺伝しますか?
A.親子は顔だけでなく身体的な特徴や病気も遺伝しやすいため、腸の長さが遺伝する可能性は十分にあるでしょう。
6-5.便秘ですが腹痛はありません。ねじれ腸の可能性はありますか?
A.ねじれ腸は腹痛が伴う便秘が主な症状です。腹痛が伴わない場合は、腸の運動能力が低下して便秘を起こしている可能性が高いでしょう。食生活や生活習慣で改善することをおすすめします。
まとめ
いかがでしょうか。ねじれ腸の原因や症状・改善するための方法などをまとめて解説しました。日本人の多くが抱えていると言われるねじれ腸の問題。なかなか改善しない便秘に頭を抱えている人も多いのではないでしょうか。しかし、ねじれ腸は適切なマッサージや運動で改善することが十分に可能です。ぜひこの記事を参考にして、頑固な便秘から解放されてください。