便秘に悩む妊婦さん必見!妊娠中の便秘解消法や使ってよい便秘薬は?
2016/06/06
2016/06/15
監修: 快適ヘルシーライフ編集部
便秘に悩む妊婦というのは、決して少なくありません。
妊娠すると運動量が減ったりホルモンバランスが崩れたりするので、今まで便秘知らずの方でも便秘するケースも多いのです。
便秘は最もポピュラーな体の不調のひとつなので、解消方法もいろいろあります。
しかし、妊娠中は使える方法も限られていますし、注意しなければないことも多いのです。
そこで、今回は妊娠中の便秘解消方法についてご紹介しましょう。
今は、妊娠中にやってよいこと、悪いことにかんする情報も豊富に手に入ります。
だからこそ、情報の取捨選択に迷う方もいるでしょう。
今回は妊婦の便秘解消に特化した記事をお届けします。
この記事を読めば、つらい便秘から解放されるヒントがつかめるでしょう。
妊娠している方や、家族が妊婦という方もぜひこの記事を読んでみてくださいね。
1.妊婦が便秘しやすい理由
始めに、妊娠すると便秘をしやすい理由をご紹介しましょう。
もともと女性は男性に比べると便秘しやすい方が多いのですが、妊娠をすると今まで便秘知らずな人でも便秘になってしまう可能性が高いのです。
1-1.ホルモンが便秘を招く?
妊娠をすると、赤ちゃんを子宮内で育てるために女性ホルモンの分泌が盛んになります。
その中でも、「黄体ホルモン」は、子宮の収縮を抑える働きがあるのです。
ただし、このホルモンの分泌が盛んになると、便を大腸から直腸へと送りだす役割を担う「平滑筋」という筋肉の動きも弱めてしまいます。
すると、腸のぜん動運動が鈍くなり便が腸内にたまりやすくなるのです。
ですから、今まで便秘知らずだった方も便秘に苦しみやすくなります。
1-2.つわりや子宮の大きさも便秘の原因になる
妊娠中の便秘の原因は時期によって変化する場合もあります。
たとえば、初期のころはつわりで食べられる量が少なくなり、便の量が少なることによって便秘になりやすくもなるでしょう。
また、後期になると赤ちゃんが子宮内で大きくなり、ほかの臓器を圧迫します。
すると、腸も押しつぶされて便秘になりやすくなるでしょう。
このように、原因が異なれば対処法も変わってくるのです。
1-3.精神状態も大切
妊娠は、女性の体だけでなく精神に大きな変化をもたらします。
前述した女性ホルモンは、精神にも影響を与えるのです。
そして、腸は「第二の脳」といわれるくらい精神状態に影響を受けます。
緊張したり不安になったりするとおなかの調子が悪くなる人は珍しくありません。
妊娠すると喜ばしい反面、不安になる方も多いでしょう。
それが便秘を促進させてしまうかもしれません。
1-4.妊婦の便秘の特徴とは?
妊娠中の便秘は、「便の硬さ」に悩まされる方が多いでしょう。
便意はあるのに、硬くて出ない。
出てもポロポロとした便が少量だけで、すっきりしないなどが代表的な症状になります。
このような硬い便は時間がたつとますます硬くなり、出にくくなるでしょう。
その結果おなかの張りに苦しんだり、無理に出そうとして痔(じ)になったりしやすいのです。
さらに便秘がすすめば、腹痛がひどくなって病院にかけこむはめになるかもしれません。
2.妊娠時期による便秘の症状や対処法の変化
この項では、妊娠時期別に起こりやすい便秘の症状や対処法をご紹介します。
いったいどんな変化が見られるのでしょうか?
2-1.妊娠初期の便秘とは
妊娠初期とは、妊娠4か月目までを指します。
妊娠が判明したり、つわりが始まったりするのもこの時期です。
妊娠初期は、赤ちゃんの元になる受精卵が着床して、重要な臓器ができる時期。
ですから、ホルモンバランスも大きく変化して心身ともに不安定になる方も少なくありません。
今まで便秘知らずの方が便秘になってしまうのもこの時期です。
妊娠初期の便秘は、水分不足とつわりによる食事不足が原因で起こることが多いでしょう。
つわりは、ひどい人になると水分まで吐いてしまいます。
また、油脂、食物繊維など便秘解消に効果的な食物を体が受け付けなくなる方もいるでしょう。
その結果、体の中に硬い便ができてしまいます。
また、おなかの赤ちゃんが気になってうまくいきめずに便秘になる方もいるでしょう。
この時期の便秘解消は、医師に相談してその指示に従ってください。
また、食べられるなら油脂、食物繊維、水分を積極的に摂取しましょう。
そうすれば、便秘になりにくいのです。
また、市販の便秘薬はこの時期は使用しないようにしてください。
2-2.妊娠中期の便秘とは?
妊娠中期とは、妊娠5か月~7か月目までを指します。
この時期は別名「安定期」といわれ、つわりも落ち着いて活動的になる人も多いでしょう。
マタニティヨガなど、妊婦向け運動をするのにも適した時期なので、便秘が解消する方もいます。
しかし、一度便秘になってしまうと、それが習慣づいてしまう方もいるでしょう。
妊娠中期の便秘の解消法は食物繊維を含んだ食品や整腸作用のあるヨーグルトを意識して取ったり、運動をしたりしましょう。
ただし、3日以上便が出ない場合は無理をせずに医師から処方された薬を服用してください。
薬はよくない、と思いこんではいけません。
医師から処方された薬ならば安全です。
2-3.妊娠後期の便秘とは?
妊娠後期とは、妊娠8か月~臨月までを指します。
この時期になるとおなかはかなり大きくなり、赤ちゃんも2000グラムを超えるでしょう。
そうなると、胎児で内臓が圧迫され、便秘になる方も増えてきます。
この時期の便秘は便意があるのに出ない、もしくは出たけれどもすっきりしないというものが多いでしょう。
ですから、便を柔らかくする薬を処方してもらうと効果的です。
なお、出産時期が近づくと今度はひんぱんにお通じがあったりします。
また、お通じが出産を促進させる効果もあるのです。
急にするするとお通じが出るようになった場合は、出産が近いと思っておきましょう。
2-4.妊娠後も便秘が解消しない理由とは?
さて、無事に出産がすめば、便秘も解消、というわけにはいきません。
出産後は思ったように動けない方が大半です。運動不足が便秘を招くこともあるでしょう。
また、母乳で育児をすると、体中の水分が母乳に取られてしまいます。
ですから、便に回す水分が少なくなり便秘が解消しない方も少なくありません。
もう出産はすんだのですから、便秘薬の制限はほぼないでしょう。
しかし、あまり激しい効き目のものは、日常生活に支障が出ます。
ですから、効き目が穏やかな便秘薬を使用したり努めて水分を摂取するようにしたりしましょう。
なお、痔(じ)になってしまった人は固い便を無理やり出そうとすると再発の危険があります。
3.妊婦の便秘解消法
この項では、妊娠していても実践できる便秘解消法をご紹介します。
食べ物や飲み物、ストレッチやツボなど妊婦でもできる方法はたくさんあるのです。
3-1.食べ物、飲み物に気を配る
妊娠初期はつわりで、そして妊娠後期は赤ちゃんに胃を圧迫されて、あまりご飯が食べられなくなる妊婦は少なくありません。
食事の量が少なくなると便の量も少なくなります。
さらに、水分の摂取量も減れば便に行く水分も減って便が硬くなりやすくなるのです。
ですから、意識して水分や食物繊維、ヨーグルト、オリゴ糖など便秘解消に効果のある食べ物を取りましょう。
プルーンなどの食物繊維豊富なドライフルーツは甘みがあって小さいので食べやすいのです。
たくさん食べると気持ちが悪くなるという場合は、少量を何回にも分けて食べるとよいでしょう。
また、ただの水が飲みにくい場合は、少量のはちみつを入れたり麦茶などノンカフェインの飲み物にしたりするとよいですね。
3-2.ストレッチや軽い運動をする
妊娠中期(安定期)に入ったら、体を動かしても問題ありません。
今は、妊婦向けのヨガや運動教室も開かれているので、参加してみてもよいでしょう。
また、体をゆっくりとひねるストレッチなども効果的です。
妊娠中も仕事を続けているという方は、意識して通勤中に速足で歩いてみるとよい運動になるでしょう。
ただし、無理をしすぎてはいけません。
妊娠後期になるとおなかが重くなりバランスが取りにくくなり、無理な運動は転倒の原因になります。
3-3.便秘解消のツボを押す
おなかには便秘に効くツボが複数ありますが、妊娠中はちゅうかんというおへそとみぞおちを結ぶ線のちょうど真ん中にあるツボを押してみましょう。
ここならば、子宮から離れていますので、少し強く押しても大丈夫です。
ただし、臨月になるとこのあたりまで子宮が大きくなりますので、ツボを押す場合は慎重に。
また、腸はおなかをぐるりと取り巻くように収まっていますので、それをたどるようにマッサージをしても効果的でしょう。
4.妊婦と便秘薬について
この項では、妊娠中に使える便秘薬と使ってはいけない便秘薬をご紹介します。
便秘薬は即効で便秘が解消できる方法ですが、妊娠中は慎重に使いましょう。
4-1.妊娠中の便秘解消法でやってはいけないこととは?
便秘薬は、便秘を即効で解消してくれる方法として人気があります。
便秘解消を便秘薬に頼っているという方も多いでしょう。
妊娠中でも便秘薬を使ってはいけないというわけではありません。
ただし、市販薬を不用意に利用するのはやめましょう。
市販薬の中には「子宮の収縮」を促す成分が入っているものも少なくありません。
子宮が過度に収縮すると、流産や早産の危険が増します。
ですから「効き目が穏やか」、「子どもでも飲める」という便秘薬でも注意が必要です。
また、足の裏には便秘解消のツボもありますが、同時に子宮を収縮させるツボもあります。
そのため、長時間足ツボを刺激し続けるのもお勧めできません。
フットマッサージは大変気持ちがよいものですが、妊娠中は連続して長時間受けるのは避けましょう。
4-2.漢方薬も油断できない
漢方薬の便秘薬ならば、妊娠中も安心というイメージを持っている方もいるでしょう。
しかし、漢方薬の中にも子宮を収縮させる作用のあるものがあります。
「大黄(だいおう)」と「センナ」がその代表例。
どちらも市販の漢方薬の便秘薬には入っていることが多いのです。
さらに、「便秘を解消させるお茶」などの健康食品にも、センナが入っている場合があります。
4-3.妊婦でも使える便秘薬とは?
妊娠中に便秘になった場合は、まず産婦人科医に相談しましょう。
酸化マグネシウムを主体とした便秘薬を処方してくれます。
酸化マグネシウムは子宮を収縮させる作用がないので、妊娠中でも安心です。
また、漢方薬を使いたいという場合は、大黄(だいおう)やセンナが入っていないものを処方してくれるところもあるでしょう。
便秘薬を飲むタイミングは、3日お通じがなかったらというのが一般的ですが、おなかが張って苦しい場合にはいつ飲んでも構いません。
また、酸化マグネシウムが主体の便秘薬を飲んでも効果がないという場合は、座薬を使用するケースもあるでしょう。
即効性のある便秘薬としては浣腸がありますが、妊娠中に浣腸をすると子宮が収縮しやすくなります。
どうしてもという場合は、病院で処置を受けてください。
決して珍しいことではないので恥ずかしがることはありません。
病院で浣腸すれば、いざというときでも安心です。
5.妊婦の便秘解消についてよくある質問
Q.妊娠前から便秘がひどいのですが、妊娠中はもっとひどくなるのでしょうか?
A.妊娠したからといって、便秘がひどくなるわけではありません。
ただし、飲み物や食べ物に一層気を配る必要はあるでしょう。
Q.つわりで食べられるものが限られていますが、便秘解消のために無理した方がよいですか?
A.つわりの最中は食べられるものを食べましょう。無理をする必要はありません。
また、小分けして食べた方がよいという意見もあります。
Q.痔(じ)になってしまったみたいです。どうしたらよいでしょうか?
A.妊娠中の痔(じ)は決して珍しくありません。市販の薬で痛みが消える場合はそれを使いましょう。
患部を清潔にし、痛みが続く場合は医師に相談してください。
Q.授乳中は市販の便秘薬を飲んでも大丈夫でしょうか?
A.出産後なら問題ないです。ただし、用法、用量を守って使用しましょう。
効きすぎたりすれば、トイレから出られなくなり赤ちゃんのお世話もままならなくなります。
Q.妊娠中はどこまで運動しても大丈夫ですか?
A.おなかに負担がかからないならば、ある程度は大丈夫でしょう。
ただし、水泳などおなかを冷やすものは、長時間はやめておいてください。
ウォーキングなど、いつでも中断できるものがお勧めです。
まとめ
いかがでしたか?今回は妊婦の便秘解消方法などについてご紹介しました。
便秘になるとおなかが張って苦しくなり、気分も沈みがちになります。
しかし、妊娠中の便秘は多くの方が経験していること。対処法もいろいろあるのです。
ひとりで悩まず、ぜひ医師や看護師に相談してみてください。