普通の便秘対策では効き目がない? スーパー便秘、直腸性便秘とは?
2015/05/25
2016/08/17
監修: 快適ヘルシーライフ編集部
便秘には多くの原因があり、改善には“便秘の原因を知る”ことが大切です。便秘には原因によって症状や治療方法・改善方法が大きく異なる特徴があります。便秘の中でも慢性的な便秘につながりやすいのが、“直腸性便秘”です。直腸便秘は、一般的な便秘とは異なり対策が難しいという特徴があります。直腸便秘の症状と改善方法などについて詳しくご紹介しましょう。
1.直腸性便秘とは?
便秘の症状は“排便が困難”という状態なのですが、便秘にはいくつかの種類があるのです。便秘の改善を行う前に、便秘の種類を知ることから始めてみましょう。一般的な便秘の種類について簡単にご紹介します。
1-1.機能性便秘
機能性便秘は、消化器官の機能低下を原因とした便秘です。“急性便秘” “医原性便秘” “慢性便秘”に細分化されており、さらに慢性便秘の中に“弛緩(しかん)性便秘”“痙攣(けいれん)性便秘”“直腸性便秘”があります。
1-1-1.急性便秘
食事・ストレス・運動不足などを原因として、一時的に起こる便秘です。一時的なものなので、短期間で症状が改善します。
1-1-2.医原性便秘
薬の副作用として起こる便秘です。便秘の副作用のある薬が処方される場合には、便秘薬も同時に処方して対処します。
1-1-3.慢性便秘
日常的に便秘の症状が現れるのが慢性便秘です。原因によって“弛緩性便秘”“痙攣性便秘”“直腸性便秘”などの便秘に分類することができます。慢性便秘は原因によって治療方法が異なるので注意が必要です。
1-1-4.弛緩性便秘
食物繊維の摂取不足や運動不足・筋力低下などを原因とした便秘です。日本人に最も多い便秘の原因であり、単に便秘というと弛緩性便秘を指します。
1-1-5.痙攣性便秘
ストレスなどの刺激によって大腸が痙攣してしまうことを原因とした便秘です。自律神経が原因であることから、通常の便秘対処法では改善が難しいので注意しましょう。
1-1-6.直腸性便秘
便秘薬の乱用や生活環境・ストレスなどが原因になり、直腸に便が留まり続けるのが直腸便秘です。慢性便秘の中でも改善が難しいことから“スーパー便秘”という名称でも呼ばれています。
1-2.器質性便秘
器質性便秘は大腸に異常があるために起こる便秘です。大腸の炎症や虫垂炎など大腸に異常がある際に起こる便秘なので、原因となる疾病の改善が必要になります。
2.直腸性便秘の特徴
便秘の中でも改善の難しい“直腸便秘”の特徴についてご紹介しましょう。直腸性便秘の原因は“便を我慢する”ことを原因とした便秘です。日常的に便を我慢してしまうことで、直腸が便意に慣れてしまい便意を感じにくくなってしまうことが原因として便秘の症状が起きてしまいます。直腸の感受性低下が原因であり“一般的な便秘対策で改善することが難しい”のが直腸便秘の特徴です。直腸便秘は便を我慢してしまうことに加えて、便秘薬などを常用していることで起こってしまう便秘であり、近年増加傾向にあります。
3.直腸便秘を確認しよう!
自分の便秘がどのような原因であるかを知ることは非常に大切です。そこで、直腸便秘の特徴を確認してチェックしてみましょう。
直腸便秘チェック
- 便を我慢することが多い
- あまり便意を感じない
- 便秘薬を常用している
- 便が硬い
- 排便時に痛みがある
- 痔を患っている
- 便秘対策をしても効果が無い
上記の項目に加えて、便秘の症状がある場合には直腸便秘である可能性があります。直腸便秘は一般的な便秘とは対策方法が異なるため、しっかりと判断することが大切です。
4.直腸性便秘の危険性
便意を感じないため、直腸に便が体の中に長時間溜(た)まります。これによって便が硬くなり便秘になるのですが、直腸性便秘は排便が困難であることに加えて複数の危険性があるのです。直腸便秘の危険性や影響についてご紹介しましょう。
4-1.大腸がんの危険性を高める
直腸便秘が慢性化することは、大腸に対して大きな負担です。直腸に便が溜まってしまうことは、大腸がんなどの危険性が高まってしまいます。
4-2.直腸便秘の影響
直腸便秘を始めとした便秘は健康への影響に加えて、体臭や口臭などの原因にもなります。便秘によって体臭や口臭がひどくなるのは、便の中に含まれるガスが血液中に溶け込み、皮膚や呼吸などを通して排出されることが原因です。便秘は健康に対して大きな影響のある症状であることを自覚しましょう。
5.直腸性便秘の原因
5-1.日常的に便を我慢してしまう
直腸性便秘の原因は“便を我慢する”ことです。原因に関係なく便を我慢してしまうということは、直腸便秘の原因になります。日常的に便意を我慢することで、直腸が刺激に慣れてしまい便意を感じにくくなることが直腸性便秘の主な原因になるので、便を我慢することは避けましょう。
5-2.直腸瘤(ちょくちょうりゅう):レクトシール
直腸瘤はレクトシールとも呼ばれ女性特有の便秘の原因となる症状です。直腸瘤は直腸にポケットのような“くぼみ”に便がつまり便秘を引き起こします。女性特有というのは、女性の体の構造上、直腸が全面に押し出されやすいことによるものです。直腸瘤は直腸性便秘と同じく、便秘を我慢してしまうことで生じるので“便は我慢しない”ことが直腸流の有効的な対策になります。
5-3.アニスムス
便を排出しようとする際に、肛門(こうもん)周辺の筋肉が緊張してしまう症状がアニスムスです。便を排出しようと力を入れてしまうという状態が、逆に便の排出を妨げていることもあります。トイレが長い、トイレに入っても排便できないというような悩みがある場合にはアニスムスの可能性を疑いましょう。アニスムスの有効な対策は“トイレで無理をしない”ことです。
6.直腸性便秘の改善方法
6-1.便秘薬を多用しない!
直腸便秘は、便秘薬の使用によって状況が悪化してしまう可能性があります。一般的な便秘薬は、直腸に対して効果が及ばないものがほとんどです。便秘薬の多様が状況を悪化する可能性もあるので、便秘薬の常用は避けるようにしましょう。
6-2.食物繊維は水溶性を取ろう!
食物繊維は便秘に効果があるのですが、直腸性便秘の場合には過剰な食物繊維の摂取が症状を悪化する可能性もあります。食物繊維は“不溶性食物繊維”“水溶性食物繊維”の2種類があるのですが、不溶性食物繊維の“便の量が増える”という効果に注意が必要です。便の量が増えるというのは良いことなのですが、直腸便秘の場合には便が排出されない症状によって、便が詰まる可能性を高めてしまいます。直腸便秘の改善では、不溶性食物繊維は避けるようにしましょう。直腸性便秘の可能性がある場合には、水溶性食物繊維を積極的に取ることが大切です。
まとめ
直腸性便秘は便意を感じないことが原因として起こる便秘です。直腸性便秘の原因と特徴に付いてご紹介しましょう。
直腸性便秘の原因
- トイレを日常的に我慢してしまう
- 便秘薬を常用している
このような日常的な行為は、直腸の刺激に対する反応を緩慢にしてしまう原因になります。直腸性便秘は日常的な生活が原因となって起こる便秘であることから、日常的な生活に注意することが大切です。
直腸性便秘の特徴
- 直腸が便意に慣れてしまうことによる便秘
- 一般的な便秘対策では改善が難しい
直腸性便秘は、一般的な原因の便秘対策では改善が難しいといい特徴があります。特に、便秘に効果のある便秘薬や食物繊維の摂取などの対策が直腸便秘では逆効果になることもあるので注意しましょう。